物質環境工学科
石油や鉱物資源の枯渇、地球環境問題、世の中には解決しなければならない問題がたくさんあります。こうした時代の要請を受けて、最新の研究に取り組み、化学・バイオテクノロジーの基礎と高度な専門をしっかりと学ぶことができるのが”物質環境工学科”です。地球環境との調和を考えながら人類に役立つ新しい物質を創造し、種々の課題にも取り組める技術者を育成します。
物質環境工学科では、環境問題の解決や新素材開発などに貢献できる学生を育てることを目的として、化学や生物を基本とする勉強を進めていきます。
主な専門科目(2・3年生)
2・3年生では有機化学、材料工学、生物工学など基礎になる科目に加え、実験や社会体験活動等を通じて専門能力を実践的に使える能力を身につけます。
●情報処理I ●無機化学 ●分析化学 ●物質工学実験I ●化学演習 ●基礎有機化学演習
●基礎PBL実験 ●生物工学入門 ●材料工学入門 ●応用物理I ●有機化学I
●物理化学I ●化学工学I ●生化学 ●物質工学実験 ●技術論文技法
4・5年生の科目
4・5年生に対しては、基礎系の科目をはじめ、材料物性系およびバイオ環境系の科目を専門的に学べる課程としています。双方の分野についての専門的知識を得るだけでなく、実験を通してより広範な分野に対応できる能力を身につけます。
【専門基礎系】
●応用数学I ●応用数学II ●応用物理II ●情報処理II ●有機化学II
●物理化学II ●物理化学III ●化学工学II ●高分子化学 ●機器分析
●化学英語 ●技術者教育 ●計算科学
【材料物性系】
環境問題の改善に主に新素材開発から取組むことができる専門性を深化させます。
●無機材料工学 ●有機材料工学I ●有機材料工学II ●金属材料工学 ●無機構造化学
●マテリアル工学実験 ●材料物性工学実験 ●無機工業化学 ●有機工業化学
【バイオ環境系】
環境問題の改善に主にバイオテクノロジーを駆使して取組むことができる専門性を深化させます。
●生物化学 ●環境工学I ●環境工学II ●分子生物学 ●応用微生物化学
●バイオ工学実験 ●環境工学実験 ●生体触媒工学 ●食品衛生学
高学年で行う発展的な実験 ~バイオ工学実験(4年生)~
バイオテクノロジーを活用した研究において基礎となるのは、微生物学・生化学・分子生物学分野の実験技術です。本講義では、微生物の分離・培養・観察、微生物による物質生産、タンパク質定量による酵素活性、DNAの抽出と遺伝子診断などを通じて基礎的な実験技術を習得します。
卒業研究(5年生)
2020年度卒業生 杉林 優香 さん
私たちの研究室では、自然界に広く存在している天然の色素である”カロテノイド”を蓄積・運搬する重要な役割を持った”カロテノプロテイン”について研究しています。カロテノプロテインの研究例はとても少ないので、毎日のように新しい発見ができやりがいがあります。学生実験や授業は、高学年になるほど専門性が増して難しくなりますが、専門的な知識や技術を身に着けることは、5年生の卒業研究や将来の夢に必ず役立ちます!
2020年度卒業生 三好 舞美 さん
私の卒業研究では、本来廃棄されるはずのウニの殻を使って水溶液中の金属イオンを効率的に回収する方法を開発しています。研究は思うようには進みませんが、私の研究がいつか廃水処理などに役に立つかもしれないと思うと、やりがいを感じます。
先輩からのメッセージ
2022年度卒業生 廣瀬 はるか さん
私は白衣を着て実験をすることに憧れていたので、実験・実習は大好きな時間です。また、座学の授業で学んだ内容が日常生活に大きくかかわっていることを知る瞬間が一番楽しいです。
物質環境工学科の先生方は話しやすく、気軽に質問や進路相談ができるので安心です。
2021年度卒業生 池田 知尋 さん
例えば食べ物に含まれる食品添加物やガラスの原料など、私たちの身の回りにあるもののしくみについて勉強するのが面白いです。実験でもホタテ貝殻を使ったり、私たちの生活と化学が結びつく瞬間がすごく楽しいです!
2021年度卒業生 尾上 慶泰 さん
この学科では、簡単に言うとプラスチックの元となるものや、薬の元となるものなどを作るための基礎的な勉強をしています。そのため、白衣を着て色々な薬品を用いて、実験することも多いです。実験では、目に見える変化、例えば光ったり、発火したりなどの変化を見ることができてとても面白いです。また、学校生活では気さくに話せる先生方や、趣味の合う友達に出会い、勉学、日常生活において充実したものとなっているので、その点について心配する必要はありません!
先生からのメッセージ
小林 淳哉 教授
【博士(工学) 専門分野:無機材料工学】
地域の環境問題に主にリサイクル技術の開発から取り組んでいます。たとえば、よい使い道のないホタテ貝の貝殻を、もっと価値ある素材へと変換しています。たとえば、紫外線を受けると光ったり、歯磨き粉として混ぜると、歯の汚れがどんどん取れたりするような材料です。うまく行けば1kgが数万円から数十万円で取引されるようなものになります。 入学してからの5年間、勉強ばかりでは息が詰まってしまいます。それで何かしらの楽しみを提供できればと思っています。たとえば、市民の皆さんや子供たちとの科学を通じたふれ合いの場を提供したり、美術が得意な学生には、いろいろなPRグッズのデザインもしてもらっています。「○曜日は、そんな活動があるから学校が楽しい!」と思ってもらえたら最高です!