受賞後車の前で展示の様子

北海道ハンドメイドエコカーコンテストとは

2012年2月17日-19日に開催された札幌モーターショーに合わせ,道内工業系学生が「北海道の地域特性に配慮した手作りエコカー」を制作し,ユニークな発想やチームワークにおける創意工夫や表現方法を競うコンテストです.

詳しくは札幌モーターショー2012イベントページ

函館高専エコカー研究会

このコンテストのために結成された有志チームです.
メンバーは専攻科2年生の4名です.

北海道らしいエコカーとは?

■今後普及するであろう電気自動車は,暖房などを使わない場合にバッテリー残量のほとんどを走行用に使っています.
■寒冷地では暖房にバッテリーの電気を消費するため航続距離が大幅に低下してしまいます.
電気自動車の問題点
■つまり北海道のエコカーにはバッテリーを使用しない暖房が必要です.

函館高専エコカー研究会が提案した解決策

■暖房用に用いるエネルギー源として考えられる一例は
・太陽光発電で充電----しかし---雪の日に使えません.
・太陽熱利用で加熱----しかし---雪の日に使えません.
・風力発電で充電----しかし---車の空気抵抗が増える,すなわち走行用エネルギーの無駄使いです.
蓄熱材----これは----時間帯・天候に左右されず,蓄えた熱をそのまま利用できるメリットがあります.
   さらに北海道は一日中暖房が動いており,その排熱を上手に蓄えることが出来れば電気に依存しない暖房ができると考えました.

函館高専エコカー研究会の製作コンセプト

寒冷地のための蓄熱自動車
■システム全体のイメージは
・生活から出る排熱を温水タンクに一度貯蔵します.
・駐車しているときに貯蔵された温水で車の蓄熱タンクに熱を蓄わえます.
提案するシステム

車の構想

蓄熱タンクとヒートパイプを用いたシートヒーター暖房の車
■ボディは主に住宅用断熱材であるスタイロフォームで制作しました.
■窓はすべてアクリル板を2重にし,断熱性能を高めました.
車の構成

ヒートパイプとは

内部が減圧された管に作動液が封入され,その蒸発と凝縮を利用し熱を瞬時に伝えることのできる管です.
普通の金属パイプに比べ熱伝導が非常に優れており,研究が進められています.
今回はエコカー製作にあたり,株式会社菅製作所様からお借りしました.ありがとうございました.
この図は株式会社菅製作所様のホームページから転載しました.
ヒートパイプの説明

蓄熱材【酢酸ナトリウム】

■今回の蓄熱材には『エコカイロ』で知られる酢酸ナトリウム水和物[CH3COONa・3H2O]を用いました.
車名の『CoonA(クーナ)』は[CH3COONa・3H2O]から名付けました.
■使用するにあたり,蓄熱の特性を調べました.大きなバットにお湯を入れ,その上に溶けた酢酸ナトリウム水和物(270g)を入れた皿を浮かべ, バットのお湯の温度低下を調べました.比較のためにお湯のみの場合の計測も行いました.
酢酸ナトリウム評価試験様子 酢酸ナトリウム評価試験グラフ
■右のグラフがその結果です.お湯のみの場合は時間と共に温度が低下しているのに対し,酢酸ナトリウム水和物の場合は約55℃付近で30分ほど保温されています. この時に酢酸ナトリウムは液体から固体に相変化していました.
■酢酸ナトリウム水和物のもう一つの大きな特徴は過冷却現象が起きやすいということです.
過冷却現象とは,本来なら凝固し始める温度よりも低温において,凝固せずに液体の状態を保っている現象のことで,
ある刺激(振動や結晶粒の混入)により急激に凝固が始まる現象です.
この時に温度は凝固点温度まで上昇し,全体が凝固するまでその温度を保ちます.
下のグラフは266gの酢酸ナトリウム水和物を袋に入れ静かに放置し過冷却状態にし,
その後結晶粒を落とすことで凝固させた時の温度推移です.1時間程度の間,凝固点温度を保っていることが分かります.
この原理を利用した商品に繰り返し使える『エコカイロ』が販売されています.

酢酸ナトリウム過冷却

設計製作

■3次元CADソフト「SolidEdge」を使用し,車体の設計を行いました.
■スライド式のドアを採用することで左右開口式ドアに比べ,車体強度が増しています.
■窓部を大きくすると断熱性能が低下しますが,今回はアクリル2重窓を採用することで断熱性能を向上させました.
これにより窓部を大きくすることが出来,広い視界を確保しました.
■配色は暖色系の色を採用しました.
■全体の大きさは,全長1.75m×全幅1.2m×全高1.5m です.

CAD完成予想(閉) CAD完成予想(開)

■ボディ製作
    ・材料の切り出し                     ・2重窓用の溝加工
材料の切り出し 二重窓の溝加工

    ・パーツごとに組み立て                  ・溝位置に注意し組み立て
パーツごとに組み立て 溝に注意

    ・ホイールハウスの加工                  ・薄く加工したベニヤ板を貼付け
ホイールハウスの加工 ベニヤを貼った

    ・表面をなめらかにするためパテ埋め            ・乾いたパテをヤスリがけ
パテ埋め ヤスリがけ

    ・下地塗装(白)                     ・組み立てて仮組みし確認
白塗 仮組み

    ・走行テスト                       ・吹き付け塗装(オレンジ色)
走行テスト 吹き付け

■シート製作
    ・酢酸ナトリウムを計量                  ・湯煎して融解する
酢酸ナトリウム 湯煎で溶かす

    ・溶けた蓄熱材を袋に入れ薄くしタンクに並べる       ・シートの大きさは乗りながら微調整
タンク シート調整

    ・シートにはフェルトを貼り付け美しく           ・組立後見える部分はしっかりと装飾
シート 内装

    ・タンクにヒートパイプを挿し,シートの完成        ・シートヒーターの性能試験の様子
シート完成 試験の様子

■インパネまわり製作
    ・温かみのある木材で製作                 ・手回し発電機でラジオが聞ける
インパネ製作中 インパネ

■全体組み立てとロゴ塗装
    ・組立後走行テスト                    ・ご協力いただいた企業のロゴを塗装
走行テスト ロゴ

    ・発送前に記念撮影                    ・札幌モーターショーへ向け出発
制作したみんな 出発

■プレゼンテーション審査時に放映した走行の様子の動画です.

ヒートシーター性能試験

■シートが暖かくなるかタンクにお湯を入れ実験を行いました.
・右のグラフは各測定点の温度推移です.
・ヒートパイプは暖かくなり,1時間も40℃以上を保っていました.

ヒートパイプ性能試験

展示の様子

■札幌モーターショー当日の様子です.
    ・コンテスト参加車両                   ・『CoonA』の展示
全景 展示

    ・『CoonA』の展示                    ・当日は大盛況でした
後ろから 人ごみ

    ・テレビの取材を受けました                ・お客さんに説明しました
テレビ プレゼン

表彰式

■最優秀賞を受賞しました.

受賞 賞状